興味をひかれて降りた星は、暖かな春のような陽気で、花々が咲き乱れる美しい星だった
星には廃墟になった大きな街があり、さぞ豪奢で美しかっただろう建物は、どれも崩れかけ、緑のツタに覆われていた
ふと、誰かの歌う声が聞こえた気がして、そちらへ歩いて行くと、大きなドーム状の屋根がある場所へ出た
一人の美しい歌姫が舞台の上で歌っている
と見えたのは幻で、崩れ落ちた屋根の間から差し込んだ、一筋の光がそう見えただけだった
歌っていたのは一羽の小鳥
鳥はひとしきりさえずると、壁の割れ目から外へ飛んで行った
昔はここで、毎日様々な催しが開かれ、宇宙中から集まった人々で、溢れかえったのだろう。しかし今はただ一人、私だけが静寂という音楽に耳をすませている
これもまた素晴らしい音色だ
私は誰もいない舞台にそっと拍手をした