いつか見た夢


そこは一体どこだったのか…

ガラスの割れた窓に、ツタの這う石壁

コケに覆われた床

天井には亀裂が入り、光が差し込んでいて

高い天井やカーブを描く階段の様子から、ここは昔ダンスホールだったのかもしれないなどとぼんやり思う

ゆっくり自然に還りつつある館

現在の主人はきっとこのホールの中央に立つ木

その足元に溜まった水が、風もないのにきらりと揺れて

そこではっと目が覚めた

でも夢だと言うにはあまりにも鮮やかで…

この世界のどこかに、きっとあの景色は存在している