沢山の工場に埋め尽くされている奇妙な鳥のような形をした星舟
この空域で消費される諸々の物が、ここで材料から加工され、製品になって旅立っていくのだ
沢山の煙突から吐き出される煙はまるで錦の羽衣のように星の後を何十キロもたなびく
それが幻想的で美しいと、わざざわざ訪れる者も多い
作家話
川崎生まれの私は遊び場所は近所の工場の跡地
錆びた鉄骨やクレーン、捨てられた機械などが半分草に埋もれている場所でした
夕暮れ時、赤く色づいた空に黒々と浮かび上がるそれらは、どこか生き物めいて、息を殺してじっとこちらを見つめているような気配がありました
ごつごつとして赤錆の浮くスクラップ達
どこか寂しく、独特の美しさがありました
それが私の原風景だと気が付いたのは星舟を作り始めてしばらくたった頃でした