図書館星


内部が図書館となっている星。

 紙で作られた本を宇宙中から収集し、保存している。

 図書館内は本の劣化を防ぐため、重力を最小限まで軽くしている。そのため閲覧者たちは林立する巨大な本棚の間を、魚のように泳ぎ回りながら目的の本を探すようになる。

 図書館の老司書は言う。

 「訪れた方から聞いたのですが、なんでも当図書館には、人魚が住み着いているそうです。私はまだ会った事はありませんが。」

ロビーの入り口に飾られたアンモナイトの化石。

太古の海の底と、この図書館とはどこかでつながっているのかもしれない。

 都市伝説では、この図書館には開いたとたん、別の世界に連れていかれてしまう本や、見た事もない何かが這いだしてきて、無理やり何かの契約を迫る本があるらしいと、まことしやかにささやかれている。

 そう、新しい情報を得る事は、時にとても危険な行為なのだ。でも同時に危険だからこそ、心惹かれてやまないのが人というもの…。