One Summer Day


森を散歩していると、草むらの奥に小さな池を見つけた。
そっとのぞきこむと、今まで周囲でうるさいほど鳴いていたセミが、ふと鳴きやむ。
鏡のような水面に映っているのは、緑の木々と赤い鳥居。
えっ、そんなものどこにもないのに?
慌てて顔を上げると、目の前には同じ光景が…これは一体どういう事??
途方に暮れながら、再び水面に目をやると、自分の影と目が合った。
それはヘラリと笑うと、きびすを返して姿を消してしまった。
今、私の目の前には先ほどまでいた世界より、明らかに濃さを増した森と、その深みへと続く赤い鳥居が立ち並ぶ、山道があるばかり。

星舟世界を旅するときは気をつけましょう。
ふとした拍子に遥か遠くの別次元に、飛ばされてしまうかもしれません。